夜職・水商売の確定申告 Q&A
お答えします
開業届を出すのは、事業を始めた方です。お店と雇用の関係で給与を受けているなら対象から外れます。報酬として受けている場合は、稼働を始めた年の確定申告期限までに出し、青色申告の承認申請は開業日から2か月です。
本記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。リンク経由でサービスを利用された場合、当サイトに紹介料が支払われることがありますが、ユーザーが追加費用を負担することはありません。
一解説
所得税法229条が届出を求めているのは、「不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し」た場合です。お店と雇用の関係にあり、給与として受け取っている方の所得は給与所得ですので、この届出の対象から外れます。年末調整と源泉徴収で精算される立場です。
一方、お店と業務委託の関係で、出勤日や接客の進め方を自分の裁量で決め、報酬として受け取っているのであれば、事業所得または雑所得になります。事業として営んでいる場合は、229条の届出の対象です。
受け取り方は、明細の名目だけでは決まりません。日払いの現金で受け取っていても、源泉徴収されていても、実態がどちらであるかで判断されます。お店との取り決めがどうなっているかを、契約書や規約で確かめておきます。
開業届の期限は、229条が「その事実があつた日の属する年分の所得税に係る確定申告期限まで」と定めています。確定申告期限は翌年3月15日です(同法120条1項)。6月に稼働を始めた方であれば、翌年3月15日までに出せば期限内です。
青色申告の承認申請は、これより早く閉じます。144条は、その年の1月16日以後に業務を開始した場合の期限を「その業務を開始した日から二月以内」としています。6月に始めた方の締切は8月です。青色申告ができるのは、不動産所得・事業所得・山林所得を生ずべき業務を行う方です(同法143条)。
起算点の「業務を開始した日」は、開業届の開業日欄に自分で記入します。面接や体験入店だけを済ませた段階は、まだ業務の開始にあたりません。初めて出勤して報酬が発生した日が目安になります。
夜のお店では、同じ店舗の中で給与の方と報酬の方が混在していることがあります。出勤初日という事実は同じでも、給与で受けている方に開業届の出番はなく、報酬で受けている方には期限が二本動き出します。
複数のお店を掛け持ちしている場合は、店ごとに受け取り方が違うこともあります。報酬で受けているお店が一つでもあり、それを事業として営んでいるのであれば、届出の対象になります。
裏づけになる記録は、初回の出勤日が分かる日報や勤怠、最初の報酬明細、お店との契約書です。日払いの現金だけで済ませていると日付が残りませんので、稼働した日と受け取った金額を自分で控えておきます。
所得税法施行令7条1項1号は、開業費を「事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用」と定めています。稼働を始める前の名刺の制作費や、営業のために使った通信費などが該当します。
衣装や化粧品、ネイル、美容院の代金は、開業の前後を問わず家事上の経費にあたり、開業費にも必要経費にも入りません(所得税法45条1項1号)。経費として扱えるのは、店舗専用のドレスのように、私用の余地がないものに限られます。
同項の柱書は、開業費から「資産の取得に要した金額とされるべき費用」も除いています。スマートフォンやタブレットのうち減価償却資産となるものの代金は、取得価額で各年の減価償却費として配分します。取得価額が少額で減価償却資産として扱わないものは、開業準備のための支出であれば開業費に回ります。
報酬で受けていて事業として営んでいる方が、送迎や事務を人に頼んで給与を払い始めたときは、給与支払事務所等の開設届出書を、その事実があった日から1か月以内に出します(所得税法230条)。
家族に手伝ってもらって給与を払うなら、青色事業専従者給与に関する届出書が要ります。期限は青色申告承認申請と同じで、その年の3月15日まで、1月16日以後に事業を開始した場合はその日から2か月以内です(同法57条2項)。
消費税の届出には、開業した年ならではの扱いがあります。ふだんは適用を受けたい課税期間の前日までに出しますが、事業を開始した日の属する課税期間から適用を受けるときは、その課税期間中に出せば間に合います。
二一次情報
所得税法 第45条第1項第1号(家事関連費等の必要経費不算入等)(抜粋)
第四十五条 居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
一 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの
所得税法 第57条第2項(青色事業専従者給与に関する書類の提出期限)(抜粋)
2 その年分以後の各年分の所得税につき前項の規定の適用を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同項の事業を開始した場合には、その事業を開始した日から二月以内)に、青色事業専従者の氏名、その職務の内容及び給与の金額並びにその給与の支給期その他財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
所得税法 第120条第1項(確定所得申告)(抜粋)
第百二十条 居住者は、その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額が第二章第四節(所得控除)の規定による雑損控除その他の控除の額の合計額を超える場合において、当該総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額からこれらの控除の額を第八十七条第二項(所得控除の順序)の規定に準じて控除した後の金額をそれぞれ課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額とみなして第八十九条(税率)の規定を適用して計算した場合の所得税の額の合計額が配当控除の額を超えるとき(第三号に掲げる所得税の額の計算上控除しきれなかつた外国税額控除の額がある場合、第四号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた同号に規定する源泉徴収税額がある場合又は第五号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた予納税額がある場合を除く。)は、第百二十三条第一項(確定損失申告)の規定による申告書を提出する場合を除き、第三期(その年の翌年二月十六日から三月十五日までの期間をいう。以下この節において同じ。)において、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
所得税法 第143条(青色申告)
第百四十三条 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行なう居住者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、確定申告書及び当該申告書に係る修正申告書を青色の申告書により提出することができる。
所得税法 第144条(青色申告の承認の申請)
第百四十四条 その年分以後の各年分の所得税につき前条の承認を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同条に規定する業務を開始した場合には、その業務を開始した日から二月以内)に、当該業務に係る所得の種類その他財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
所得税法 第229条(開業等の届出)
第二百二十九条 居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し、若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、税務署長に提出しなければならない。
所得税法 第230条(給与等の支払をする事務所の開設等の届出)
第二百三十条 国内において給与等の支払事務を取り扱う事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、又はこれらを移転し、若しくは廃止した者は、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。
所得税法施行令 第7条第1項第1号(繰延資産の範囲・開業費)(抜粋)
第七条 法第二条第一項第二十号(繰延資産の意義)に規定する政令で定める費用は、個人が支出する費用(資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。)のうち次に掲げるものとする。
一 開業費(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用をいう。)
所得税基本通達 143-1(業務を行う居住者)
143-1 法第143条に規定する「不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行なう居住者」とは、不動産所得の基因となる資産を貸付け(地上権の設定その他他人に当該資産を使用させることを含む。)、事業所得を生ずべき事業を経営し、又は山林を保有している居住者をいうことに留意する。
国税庁 タックスアンサー No.2070 青色申告制度(抜粋)
青色申告をすることができる方は、不動産所得、事業所得、山林所得のある方です。
(1)原則
新たに青色申告の申請をする方は、青色申告をしようとする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。
(2)新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)
業務を開始した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。
(3)相続により業務を承継した場合
その年の1月16日以後に業務を承継した場合は、業務を承継した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。
国税庁 タックスアンサー No.2090 新たに事業を始めたときの届出など(抜粋)
個人が新たに事業を始めたときの所得税、源泉所得税、消費税に関する届出書等とその提出期限
所得税
個人事業の開廃業等届出書事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで
所得税の青色申告承認申請書原則、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内。)
青色事業専従者給与に関する届出書青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後開業した場合や新たに事業専従者を有することとなった場合には、その日から2か月以内)
所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書次の事由が生じた日の属する年分の確定申告期限まで
源泉所得税
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書随時(原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。)。
消費税
消費税課税事業者選択届出書適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(選択しようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間等である場合には、その課税期間中)
消費税簡易課税制度選択届出書原則として、適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(選択しようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間等である場合には、その課税期間中)
適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)事業を開始した日の属する課税期間等の初日から登録を受けようとする場合には、その課税期間中
なお、都道府県税事務所、年金事務所、労働基準監督署等にも届出書等の提出が必要となる場合もありますので、各行政機関へご確認ください。
※引用は原文のままです。読みやすさのため改行位置を調整し、一部を抜粋している箇所があります(編集・加工を行った部分)。最新の内容は必ず出典元のページでご確認ください。
三夜職・水商売の場合
開業届を出すかどうかが、まず分かれます。お店と雇用の関係で給与を受けている方は229条の対象から外れ、報酬で受けていて事業として営んでいる方には期限が二本動き出します。同じ店で働いていても、契約の形が違えば結論が変わります。
もう一つは、稼働前に揃えたドレスや化粧品です。これらまで開業費に含めると、家事上の経費を必要経費に混ぜてしまうことになります。開業費に回るのは、名刺や営業用の通信費のように、業務専用と言えるものです。
※実際の取扱いは業態・契約・実態により異なります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。
四相談先
ここまでの線引きは、実際の契約や業務の実態によって結論が変わります。 判断がつかない支出がある、金額が大きい、過去分もさかのぼって直したい——そうした場合は、早めに専門家に確認したほうが結果的に安く済みます。 依頼先の探し方は大きく 2 通りあります。

推奨
運営:弁護士ドットコム株式会社(東証プライム上場)
税理士ドットコム
全国 6,800 名以上の税理士から無料で紹介を受けられる、東証プライム上場企業運営の税理士マッチングサイト。料金や得意分野で比較可能。
こんな方に:事業所得・不動産所得・相続など複雑な申告がある方
ご自身の場合にどうなるか、判断に迷ったときは。
税理士に相談する →