夜職・水商売の確定申告 Q&A「夜職・水商売の副業 20万円を超えたら?」。封筒を二通持ち比べている人物と、背後に並ぶグラスの棚、机の上の手帳と万年筆

夜職・水商売の確定申告 Q&A

夜職・水商売の副業 20万円を超えたら?

公開 2026年8月5日 |監修 小野 好聡(公認会計士・税理士)

お答えします

報酬として受け取っている方は、そこから必要経費を引いた所得が20万円を超えていれば申告が要ります。給与として受け取っている方は、その金額は20万円の合計に入らず、給与の枠で判定します。

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解説

くわしい解説

給与で受けているか、報酬で受けているかで、線の当て方が変わる

所得税法121条1項1号が合計するのは、利子・配当・不動産・事業・山林・譲渡・一時・雑の八つの所得です。給与所得と退職所得は、この合計の外側にあります。

お店から報酬として受け取っている方は、事業所得または雑所得としてこの合計に入ります。所得税法204条1項6号は、キャバレー、ナイトクラブ、バーその他これらに類する施設で客に侍して接待をすることを業務とするホステスその他の者に支払う報酬を、源泉徴収の対象として挙げています。天引きされていても、20万円に当てるのは差し引かれる前の金額から経費を引いた所得です。

給与として受け取っている方は、その金額を合計に足しません。昼の勤めと掛け持ちしていれば、二か所から給与を受けている形になり、121条1項2号の判定に移ります。

お店の収入が報酬か給与かで判定の入口が分かれることを示した図。報酬は経費を引いた所得を20万円の合計に足し、給与は合計の外側で判定することを表す。
20万円の合計に足すもの、足さないもの。給与と退職金は、この合計の外側にあります。

経費で下がる所得と、下がらない所得がある

報酬で受けている方が20万円と比べるのは、必要経費を引いた後の所得です。お店へ支払う送迎代や厚生費、同伴やアフターで自分が負担した飲食代、名刺やプレゼントの代金、営業のための通信費が経費になります。

一方で、日常的な服装や美容にかけた費用は、所得税法45条1項1号の家事上の経費にあたり、必要経費に入りません。経費にできるのは、店でしか着ない衣装のように、私用の余地がないものに限られます。衣装代や美容代で所得が下がると見込んで判定すると、実際の所得はそれより大きく残ります。

報酬の合計が20万円台であっても、送迎代や厚生費を引いた後の所得が20万円に届かない年があります。判定はその所得で行います。

報酬の合計から送迎代や厚生費などの必要経費を引いて所得を求め、その所得を20万円の線と比べる関係を示した図。
線に当てるのは、入ってきた金額ではなく、必要経費を引いた後の所得です。

昼の勤めと掛け持ちしているとき

昼に会社勤めをして夜にお店へ出ている方で、お店の収入を報酬として受けているなら、会社の給与は合計に入らず、お店の報酬から経費を引いた所得だけを20万円に当てます。

お店の収入も給与として受けている場合は、二か所から給与を受けていることになります。判定の道は二つあります。一つは、年末調整を受けていないほうの給与と、給与・退職以外の所得とを足した金額です。これが20万円以下なら、提出を要しません。

もう一つは、給与そのものが少ない方のための道です。1年分の給与の合計から、社会保険料控除・生命保険料控除・扶養控除といった所得控除(雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除は数えません)を差し引きます。その残りが150万円以下で、なおかつ給与・退職以外の所得が20万円以下であれば、やはり提出を要しません。

明細に「報酬」「給与」のどちらで書かれているかは、店ごとに分かれます。手元の明細と、年末に受け取る書類の種類をお確かめください。

20万円以下でも申告が要る場合と、住民税

121条1項のただし書は、この提出不要の扱いから外れる場合を定めています。所得税法施行令262条の2が挙げるのは、同族会社の役員やその親族が、その会社から給与のほかに貸付金の利子や資産の賃貸料を受け取る場合です。勤め先や自分の会社に資産を貸している方は、その所得が20万円以下でも申告が要ります。

給与等の収入金額が2,000万円を超える方は年末調整が行われませんので、お店の収入にかかわらず申告が要ります。

住民税には、この20万円の線が引かれていません。地方税法317条の2第1項は、給与だけ、または公的年金等だけを受けていてほかに所得がなかった方を除き、3月15日までにお住まいの市区町村へ申告書を提出することを定めています。所得税の確定申告書を出せば、その提出日に住民税の申告書も提出したものとみなされます(同法317条の3第1項)。所得税で申告しなかった年は、市区町村への申告が別に要ります。

一次情報

根拠となる法令・通達・タックスアンサー等(原文)

所得税法 第45条第1項第1号(家事関連費等の必要経費不算入等)(抜粋)

第四十五条 居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。

 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-07-25 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第45条第1項第1号/第2号以下および第2項・第3項は省略

所得税法 第121条第1項・第3項(確定所得申告を要しない場合)(抜粋)

第百二十一条 その年において給与所得を有する居住者で、その年中に支払を受けるべき第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この項において「給与等」という。)の金額が二千万円以下であるものは、次の各号のいずれかに該当する場合には、前条第一項の規定にかかわらず、その年分の課税総所得金額及び課税山林所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。ただし、不動産その他の資産をその給与所得に係る給与等の支払者の事業の用に供することによりその対価の支払を受ける場合その他の政令で定める場合は、この限りでない。

 一の給与等の支払者から給与等の支払を受け、かつ、当該給与等の全部について第百八十三条(給与所得に係る源泉徴収義務)又は第百九十条(年末調整)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、その年分の利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額の合計額(以下この項において「給与所得及び退職所得以外の所得金額」という。)が二十万円以下であるとき。

 その年において第三十五条第三項(雑所得)に規定する公的年金等(以下この条において「公的年金等」という。)に係る雑所得を有する居住者で、その年中の公的年金等の収入金額が四百万円以下であるものが、その公的年金等の全部(第二百三条の七(源泉徴収を要しない公的年金等)の規定の適用を受けるものを除く。)について第二百三条の二(公的年金等に係る源泉徴収義務)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び公的年金等に係る雑所得以外の雑所得の金額の合計額をいう。)が二十万円以下であるときは、前条第一項の規定にかかわらず、その年分の課税総所得金額又は課税山林所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-08-04 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第121条第1項柱書・第1号および第3項/第1項第2号・第2項は省略

所得税法 第121条第1項第2号(二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合)(抜粋)

 二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受け、かつ、当該給与等の全部について第百八十三条又は第百九十条の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、イ又はロに該当するとき。

イ 第百九十五条第一項(従たる給与についての扶養控除等申告書)に規定する従たる給与等の支払者から支払を受けるその年分の給与所得に係る給与等の金額とその年分の給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が二十万円以下であるとき。

ロ イに該当する場合を除き、その年分の給与所得に係る給与等の金額が百五十万円と社会保険料控除の額、小規模企業共済等掛金控除の額、生命保険料控除の額、地震保険料控除の額、障害者控除の額、寡婦控除の額、ひとり親控除の額、勤労学生控除の額、配偶者控除の額、配偶者特別控除の額、扶養控除の額及び特定親族特別控除の額との合計額以下で、かつ、その年分の給与所得及び退職所得以外の所得金額が二十万円以下であるとき。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-08-05 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第121条第1項第2号/同項柱書・第1号および第3項は別掲

所得税法 第204条第1項(源泉徴収義務・報酬、料金等に係る源泉徴収義務)(抜粋)

第二百四条 居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。

 原稿、さし絵、作曲、レコード吹込み又はデザインの報酬、放送謝金、著作権(著作隣接権を含む。)又は工業所有権の使用料及び講演料並びにこれらに類するもので政令で定める報酬又は料金

 弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金

 社会保険診療報酬支払基金法の規定により支払われる診療報酬(略)

 職業野球の選手、職業拳闘家、競馬の騎手、モデル、外交員、集金人、電力量計の検針人その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金

 映画、演劇その他政令で定める芸能又はラジオ放送若しくはテレビジョン放送に係る出演若しくは演出(指揮、監督その他政令で定めるものを含む。)又は企画の報酬又は料金その他政令で定める芸能人の役務の提供を内容とする事業に係る当該役務の提供に関する報酬又は料金(これらのうち不特定多数の者から受けるものを除く。)

 キャバレー、ナイトクラブ、バーその他これらに類する施設でフロアにおいて客にダンスをさせ又は客に接待をして遊興若しくは飲食をさせるものにおいて客に侍してその接待をすることを業務とするホステスその他の者(以下この条において「ホステス等」という。)のその業務に関する報酬又は料金

 役務の提供を約することにより一時に取得する契約金で政令で定めるもの

 広告宣伝のための賞金又は馬主が受ける競馬の賞金で政令で定めるもの

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-08-04 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第204条第1項/第2項以下は省略
第3号は本文が長いため中略しました(本記事の論点に係らないため)。

地方税法 第317条の2第1項(市町村民税の申告等)(抜粋)

第三百十七条の二 第二百九十四条第一項第一号に掲げる者は、三月十五日までに、総務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申告書を賦課期日現在における住所所在地の市町村長に提出しなければならない。ただし、第三百十七条の六第一項又は第四項の規定により給与支払報告書又は公的年金等支払報告書を提出する義務がある者から一月一日現在において俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この節において「給与」と総称する。)又は所得税法第三十五条第三項に規定する公的年金等(以下この節において「公的年金等」という。)の支払を受けている者で前年中において給与所得以外の所得又は公的年金等に係る所得以外の所得を有しなかつたもの(中略)並びに所得割の納税義務を負わないと認められる者のうち当該市町村の条例で定めるものについては、この限りでない。

 前年の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226)/2026-08-05 取得時点
根拠法令等:地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第317条の2第1項/道府県民税につき第45条の2に同旨
第1項ただし書の括弧書き(各種控除の適用を受けようとする者を除く旨の列挙)は長文のため「(中略)」とし、第1項第2号以下および第2項以下は省略しています。

地方税法 第317条の3第1項・第3項(確定申告書の提出による申告書提出の擬制)(抜粋)

第三百十七条の三 第二百九十四条第一項第一号の者が前年分の所得税につき所得税法第二条第一項第三十七号の確定申告書(以下本条において「確定申告書」という。)を提出した場合(政令で定める場合を除く。)には、本節の規定の適用については、当該確定申告書が提出された日に前条第一項から第四項までの規定による申告書が提出されたものとみなす。ただし、同日前に当該申告書が提出された場合は、この限りでない。

 第一項本文の場合には、確定申告書を提出する者は、当該確定申告書に、総務省令で定めるところにより、市町村民税の賦課徴収につき必要な事項を付記しなければならない。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226)/2026-08-05 取得時点
根拠法令等:地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第317条の3第1項・第3項/道府県民税につき第45条の3に同旨。第2項は省略

所得税法施行令 第262条の2(給与所得以外の所得が少額であつても確定申告書の提出を要する場合)(抜粋)

第二百六十二条の二 法第百二十一条第一項(確定所得申告を要しない場合)に規定する政令で定める場合は、次に掲げる者がその者に係る第一号に規定する法人から、法第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等のほか、当該法人の事業に係る貸付金の利子又は不動産、動産、営業権その他の資産を当該事業の用に供することによる対価の支払を受ける場合とする。

 法第百五十七条第一項第一号(同族会社の行為又は計算の否認)に規定する同族会社である法人の役員

 前号の役員の親族であり又はあつた者

 第一号の役員とまだ婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にあり又はあつた者

 第一号の役員から受ける金銭その他の資産によつて生計を維持している者

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000096)/2026-08-05 取得時点
根拠法令等:所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)第262条の2

国税庁 タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(抜粋)

大部分の給与所得者の方は、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了しますから、確定申告の必要はありません。

しかし、給与所得者であっても次のいずれかに当てはまる人(確定申告をすれば税金が還付される人は除きます。)は、確定申告をしなければなりません。

1 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人

2 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人

3 給与を2か所以上から受けていて、かつ、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える人(注)

(注) 給与の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除を除く。)を差し引いた金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円以下の人は、申告は不要です。

4 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人

5 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人

6 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人

7 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人

出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm)/令和7年4月1日現在法令等
根拠法令等:所法120、121、所令262の2、所基通121-5、措法3、8の5、37の11の5、41の10、41の12、災免法2、3

※引用は原文のままです。読みやすさのため改行位置を調整し、一部を抜粋している箇所があります(編集・加工を行った部分)。最新の内容は必ず出典元のページでご確認ください。

夜職・水商売の場合

夜職・水商売・風俗の場合、ここが分かれ目

同じ働き方に見えても、お店が報酬として払っているか給与として払っているかで、線の当て方が変わります。報酬なら経費を引いた後の所得を20万円に当て、給与ならその金額は合計に入らず、給与の枠で判定します。掛け持ちの方は、この二つを足して20万円と比べてしまいがちですが、足す相手が違います。

もう一つ、衣装代や美容代を引けば所得が下がると見込んで判定すると、実際の所得はそれより大きく残ります。日常的な服装や美容の費用は家事上の経費にあたるためです。所得を下げるのは、送迎代・厚生費・同伴で自分が負担した飲食代など、業務のための支出です。

※実際の取扱いは業態・契約・実態により異なります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。

相談先

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